皆さまこんばんは。早いもので5月ももう終わり6月になりました。今回も平成31(2019)年2月24日第54回理学療法士国家試験の午前の問題を解いていきましょう。
目次
- 第54回理学療法士国家試験午前42問目
- 午前 42問目
- 午前42問目 解説
- 自律神経とは
- 交感神経とは
- 副交感神経とは
- 心筋の血液配分量
- 動脈血酸素含量とは
- 心拍出量とは
- 第54回理学療法士国家試験 午前43問目
- 午前 43問目 解説
- 腹圧性尿失禁とは
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第54回理学療法士国家試験午前42問目
午前 42問目
軽い運動から激しい運動へと運動強度を徐々に増加させるときの正常な循環応答で正しいのはどれか。
1.運動中の心拍変化は主に副交感神経活動の亢進によって生じる。
2.運動強度の増加に伴い心筋への血液配分量が大幅に増加する。
3.運動強度が増加しても動脈血酸素含量はほぼ一定である。
4.運動開始から軽い運動中の心拍出量増加は主に心拍数の増加によって生じる。
5.中等度から激しい運動中の一回拍出量は直線的に増加する。
午前42問目 解説
この問題はすごく難しい問題ですね。
まず、1に出てくる副交感神経の復習です。
自律神経とは
自律神経とは呼吸器・消化器・循環器等の活動を調整する神経です。交感神経と副交感神経があります。
交感神経とは
起きている時の神経であり、緊張していたり興奮している時の神経です。
副交感神経とは
寝ている時の神経であり、くつろいでいる時の神経です。
次に2にでてくる血液配分量です。
心筋の血液配分量
激しい運動時には骨格筋の血流量が心拍出量全体の80%になるが、逆に内蔵の血流量は大きく減少する。しかし心筋の血液配分量はほとんど変動しない。
次に、3に出てくる動脈血酸素含量です。
動脈血酸素含量とは
動脈血酸素含有量は、ヘモグロビンに結合した酸素と血漿に溶解した酸素の合計です。動脈血酸素含量はSpO2だけでなくヘモグロビン濃度も加味した値となります。1mlの血液の酸素を運ぶ能力です。SpO2が同じでも、酸素を運搬するヘモグロビンが少ないと末梢組織に酸素を運ぶのが難しくなります。
次に4に出てくる心拍出量です。
心拍出量とは
心拍出量は心拍数と1回拍出量の積であり、心拍数が増加すると心拍出量も増加します。しかし心拍数が約150回/分以上に増加すると、心拍出量はむしろ減少します。激しい運動時の分時心拍出量は安静時の5倍程度に増加するが、1回心拍出量より心拍数の寄与が大きいといわれています。心拍数は運動強度の増加に伴い、直線的に増加するが、1回心拍出量は最大運動の50%程度まで増加した後、プラトーに達するといわれています。
それでは、1つ1つ見ていきましょう。
1の運動中の心拍変化は主に副交感神経活動の亢進によって生じるは、運動中は交感神経が働くことから、この問題では不正解となります。
2の運動強度の増加に伴い心筋への血液配分量が大幅に増加するは、上記、心筋の血液配分量にあるように、激しい運動中でも、心筋の血液配分量はほとんど変動しないとあるため、この問題の不正解です。
3の運動強度が増加しても動脈血酸素含量はほぼ一定であるは、多くのヘモグロビンは酸素と結びついたまま肺に戻ってきます。運動時、体がきつくなるのは酸素が不足するのではなく筋で酸素をうまく使えないためグリコーゲンを無酸素で分解し乳酸が生成されるためです。乳酸は筋疲労の原因と考えられています。このことから、この問題の正解となります。
4の運動開始から軽い運動中の心拍出量増加は主に心拍数の増加によって生じるは、運動中の心拍数と1回心拍出量は共に増加することから、この問題の不正解です。
5の中等度から激しい運動中の一回拍出量は直線的に増加するは、1回心拍出量は最大運動の50%程度まで増加した後、プラトーに達するといわれていますとあることから、この問題の不正解となります。
第54回理学療法士国家試験午前42問目はとても難しい問題でした。この問題を簡単に解けるようになれば自信がつきますね。ではもう1問解いていきましょう。
第54回理学療法士国家試験 午前43問目
午前 43問目
腹圧性尿失禁に対する筋力増強訓練の対象で最も優先すべき筋群はどれか。
1.腹筋群
2.殿筋群
3.骨盤底筋群
4.脊柱起立筋群
5.股関節外旋筋群
午前 43問目 解説
この問題は正解しましょう。このような基本的な問題を落とすとなかなか厳しい状況になってしまいます。このような問題を正解し合格点に近づけましょう
まず、腹圧性尿失禁について見ていきましょう。
腹圧性尿失禁とは
急に腹圧が高くなった時(笑ったとき、重い荷物を持ち上げたとき、せきやくしゃみをした時)に尿が漏れてしまう状態です。特に中高年の女性に多い病気です。腹圧が掛かったとき骨盤底筋が尿道を締め尿が漏れるのを防いでいます。骨盤底筋が弱くなると尿漏れの原因となります。
これらのことから問いを見てみましょう。
1.腹筋群
2.殿筋群
3.骨盤底筋群
4.脊柱起立筋群
5.股関節外旋筋群
正解は3の骨盤底筋群です。
骨盤底筋群のトレーニングとしてはお尻を締める運動等を行います。体操教室などでも、骨盤底筋群のトレーニングの要望も多くなっています。
今回は難しい問題と易しい問題の2問を解いてみました。では、また次回も勉強をしていきましょう。
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