皆さん、おはようございます。今回は理学療法士や他の医療専門職にはとても重要な知識であるインシデントとアクシデントについて勉強していきたいと思います。それでは、みていきましょう。
目次
- インシデント・アクシデントの分類基準
- インシデントとは
- アクシデントとは
- ハインリッヒの法則
- ヒヤリハット
- ヒューマンエラー
- インシデント・アクシデント発生時の対応
- 実際に起こりうるインシデント・アクシデントの例
- インシデント・アクシデントの勉強のまとめ
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インシデント・アクシデントの分類基準
インシデント・アクシデントの分類基準を見ていきましょう。
インシデント
レベル0
・間違ったことが患者に実施される前に気づいた場合
レベル1
・間違ったことが患者に実施されたが、患者には変化がなかった場合
レベル2a
・事故により患者に変化が生じ、一時的な観察が必要となったが、治療の必要がなかった場合
レベル2b
・事故により患者に変化が生じ、継続的な観察や安全確認のための検査が必要となったが、治療の必要がなかった場合
※バイタルサイン軽度変化、安全確認のための検査等を施行
アクシデント
レベル3a
・事故のため一時的な治療が必要になった
※消毒、シップ、皮膚の縫合、鎮痛薬の投与など
チューブ類の再挿入、造影剤を伴わないレントゲン撮影
レベル3b
・事故のため継続的な治療が必要になった場合
※バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来・入院患者の骨折等を含む
レベル4
・事故により長期にわたって障害が残った場合
レベル5
・事故が原因になった場合(死亡)
インシデントとは
診療の場で、誤った医療行為が患者に実施される前に発見されたものや結果として患者に影響を及ぼさなかったもの。
アクシデントとは
医療の現場で医療の全過程において発生する人身事故。
ハインリッヒの法則
インシデント・アクシデントの勉強では必ずと言っていいほどハインリッヒの法則が出てきます。覚えておきましょう。
ハインリッヒの法則とは、1件の重大事故が起こるまでには同種の原因による29件の軽い事故があり、300件のニアミス(ヒヤリハット)があるという考え方です。
ヒヤリハット自体は大きな事故につながらなかったエラーであっても、積み重なることで重大な事故へとつながります。
ヒヤリハット
ヒヤリハットとは、事故になりかけてヒヤリとしたり、ハッとしたりすることで、事故とは区別され事故が起きそうになった状態のことです。
ヒューマンエラー
ヒューマンエラーという単語もインシデント・アクシデントの勉強によく出てきます。
本人の意図に反して達成すべき目標から逸脱したり、損失を導いたりする人間の行動のこと。
リーズンは認知心理学的側面からエラーを3つに分類。
・スリップ
意図したものと異なる行動をとってしまうこと
・ラプス
手順の一部を忘れてしまうこと
・ミステイク
間違った解決案の適用や知識不足による行動の誤りのこと
※スリップとラプスは意図と反した行動をとってしまうものであり、ミステイクは変更があったにもかかわらず慣れている行動のまま行ってしまったり、危険物であることを知らずに扱うなど問題解決のための行動自体が間違っている場合を指します。
インシデント・アクシデント発生時の対応
では、万が一インシデント・アクシデントが発生した時の対応を見ていきましょう。
1.救急措置(止血、患部の安静)、バイタル・外傷・疼痛の有無等の確認をする。周りのスタッフに応援を依頼。患者様が動ける場合は安静肢位へ。動けない場合は、安全の確保。2人程度の介助でストレッチャーへの移動。
2.担当者は患者様に付き添い、バイタルサインの確認。リハビリテーション室であれば病棟への連絡。病棟スタッフに一連の事故状況を説明する。その後の病棟からの指示に従う。
3.病院管理者や上司への報告。
4.事故状況の患者様・ご家族様への説明および謝罪
(患者様・ご家族様への今後の対応を上司に確認したうえで行う。)
5.インシデントレポートの作成
6.ミーティング等にてスタッフとの情報の共有
実際に起こりうるインシデント・アクシデントの例
1.バイタルの変動
リハビリ訓練中に、患者様の反応が鈍くなりBP80mmHg台に低下する。
対策
・事前に既往歴・合併症・薬の副作用を確認する。
・バイタル測定を多く行う。
・体調に注意する。
・準備運動を入念に行う。
2.外傷・皮膚剥離
リハビリ訓練中に、病衣に出血をみとめる。
対策
・移乗時などに車椅子のぶつかりそうな場所にクッションを巻くなど対応を行う。
3.ルート管理
・リハビリ時の点滴、バルーン、O2カニューレ、経鼻管等の抜去。
対策
・ルートの位置・配置を確認する。
インシデント・アクシデントの勉強のまとめ
リハビリテーションの分野は非常にハイリスクな診療業務であると思います。おそらく、通常の落ち着いた業務中にはどのような医療スタッフもインシデント・アクシデントを起こしにくいと思います。忙しく、時間がない中での業務や、たまたま色々な偶然が重なり思わぬ展開からインシデントやアクシデントは起こるものではないかと思います。リスク管理の勉強を行い、出来るだけインシデントやアクシデントが起こらないように努めることが理学療法士や医療スタッフにとって重要であると思います。
では、次回も理学療法の勉強をしていきましょう。
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