おはようございます。それでは、今回も平成31年(2019)年2月24日第54回理学療法士国家試験午前の問題を解いていきましょう。今回は、脳卒中の評価についての設問です。難しい問題ですが、勉強頑張っていきましょう。
目次
- 第54回理学療法士国家試験 午前34問目
- 午前 34問目 解説
- FMA〈Fugi-Meyer assessment〉
- JSS〈Japan Stroke Scale〉
- mRS
- NIHSS
- SIAS
- 麻痺の種類
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第54回理学療法士国家試験 午前34問目
午前34問目
脳卒中片麻痺患者に用いられる評価法で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.FMA〈Fugi-Meyer assessment〉はADLの評価を含む。
2.JSS〈Japan Stroke Scale〉は関節可動域の評価を含む。
3.mRSは歩行速度の評価を含む。
4.NIHSSは意識状態の評価を含む。
5.SIASは非麻痺側機能の評価を含む。
午前 34問目 解説
脳卒中片麻痺の評価に対する問題。難しいですね。一つ一つ見ていきましょう。
FMA〈Fugi-Meyer assessment〉
FMA〈Fugi-Meyer assessment〉は脳卒中の機能障害を総合的に評価するものです。上肢(随意運動や協調性等)、下肢(協調性、バランス、感覚、他動関節可動域、関節運動痛等)を評価し高得点であれば回復段階が高いとされます。研究分野で良く見られます。身体機能以外の評価が含まれません。
JSS〈Japan Stroke Scale〉
JSS〈Japan Stroke Scale〉脳卒中重症度スケールは、意識、言語、無視、視野欠損または半盲、眼球運動障害、瞳孔異常、顔面麻痺、足底反射、感覚系、運動系の評価を行います。脳卒中の重症度を定量的(数値化)に評価することが可能で、脳卒中の研究などにも統計的な処理を行える点で優れています。
mRS
mRSは、脳血管障害患者様の予後の指標として用いられています。
0 まったく症候がない。
1 症候はあっても明らかな障害はない。
2 軽度の障害。
3 中等度の障害:独歩可能であるが、何らかの助けを要する。
4 中等度から重度の障害:介助なしには歩行不可能。
5 重度の障害:寝たきりで常時介護を要する。
6 死亡
の判定基準となっています。
NIHSS
NIHSSは、脳卒中神経学的重症度の評価スケール。脳卒中の機能障害を総合的に評価するものです。神経症状の11項目を評価します。0点が正常で点数が上がるほど重症となります。意識水準、意識障害、最良の注視、視野、顔面麻痺、上下肢の運動、運動失調、感覚、最良の言語、構音障害、消去現象と注意障害を評価します。
SIAS
SIASは、Stroke Impairment Assessment Set(脳卒中機能障害評価法)です。脳卒中の機能障害を総合的に評価するものです。9種類の機能障害に分類される22項目からなり、各項目とも3あるいは5点満点で評価します。特徴としては、麻痺側機能障害以外の感覚機能障害、痙縮、拘縮、高次脳機能障害、健側機能障害などの項目を含んだ評価法となります。
SIASの基本原則
①脳卒中機能障害の評価項目として必要最小限の項目
②1人で容易に評価できる。
③各項目が単一テストである。
上記を踏まえて問題を見ていきましょう。
1のFMA〈Fugi-Meyer assessment〉はADLの評価を含むは、FMAは身体機能以外の評価が含まれないため、この問題では不正解です。
2のJSS〈Japan Stroke Scale〉は関節可動域の評価を含むは、JSSには関節可動域の評価が含まれないため、この問題では不正解です。
3のmRSは歩行速度の評価を含むは、mRSに歩行速度の評価は含まれていないため、この問題では不正解です。
4のNIHSSは意識状態の評価を含むは、NIHSSに意識状態の評価があるため、この問題の正解となります。
5のSIASは非麻痺側機能の評価を含むは、SIASの特徴として、麻痺側機能障害以外の感覚機能障害、痙縮、拘縮、高次脳機能障害、健側機能障害などの項目を含んだ評価法となるので、この問題の正解となります。
この問題の正解は 4と5となります。
今回の午前34問目は非常に難しい問題だと思います。こういった問題は、解ける受験生と解けない受験生が分かれる問題であると思います。
麻痺の種類
麻痺の種類を見ていきましょう。
片麻痺
一側の上下肢の麻痺(右上肢と右下肢か左上肢と左下肢)
対麻痺
両側の下肢の麻痺(右下肢と左下肢)
単麻痺
四肢の一肢のみの麻痺(右上肢のみ等)
四肢麻痺(左右上肢と左右下肢)
上肢も下肢も麻痺
基本的な麻痺の定義は、中枢神経あるいは末梢神経の障害により、身体機能の一部が損なわれる状態をさします。非常に奥が深い勉強になると思いますが、押さえておきましょう。上記の麻痺では、上肢や下肢の麻痺のみでなく体幹や頸部などにも麻痺の影響はあらわれると思われます。
では、また次回も勉強していきましょう。
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